REPORT

書き物:いろいろ活動報告から雑感・妄想・昔話など。

2023-03-01-WED

33:ペロペロ

りん坊にはいくつかスイッチがある。
例えば猛烈に走り出して狂暴になるスイッチ。このボタンが押されると、誰かが身を挺してりん坊を押さえつけ、手や腕をガブガブ噛まれながらも落ち着かせなければいけない。ちょっとしたアソビから自然にスイッチが入ってしまうことがあるので、要注意だ。

そしてもう一つのスイッチ。それは、キススイッチ(別名ペロペロスイッチ)だ。それは主に10回中9回は自分に向けて発動する。残りの1回は息子宛なので、基本的にヒト科男性がペロペロ対象のようだ。
スイッチが入るのは朝。まだ布団の中でまどろんでいる時間、というより寝ているところを急襲される。
目、口、鼻、耳 ― 人間の弱点である穴という穴をペロペロと猛烈に舐めてくる。ペロペロというより、ベロンベロンギューンという感じだ。小型犬の俊敏さはそのままに首を使ってワリとストロークの長い感じでベロンと往復して、たまに穴に向かって舌をすぼめてギューンと突っ込んでくる。

寝起きのこちらは「オハ、あ、りん坊、やめ・・・、まだネム・・・、グッ・・・」と身もだえながら布団をかぶる。
しかしりん坊の追撃は止まらない。器用に布団を前足で払いのけ、時に犬パンチでこちらのガードを突き破り、その鼻の高い顔をこちらに寄せてくる。

アリクイに食される蟻の気持ち・・・。
抵抗を断念したこちらを存分に蹂躙し、舐めつくすこと4~5分といったところか。そこで一旦ブレイク。
しかしそれで終わりではない。間髪を入れずにラウンド2。
顔の正面のガードを固めるこちらの戦法を見透かしたように、耳。耳の穴をベロンベロンギューン。
「ひぃ~~~」と奇声を上げる五十路オトコ。気勢が上がる3歳のワンコ。

早朝からのドタバタに、ようやく隣の布団から規制をかけようとする家人。
散歩の道中に、道端の“拾い食い”を注意するのと同じような塩梅でこういうのだ・・・。
「りんちゃん、やめなさい。“キタナイでしょ”」

ボクの心は ひび割れたビー玉さ のぞき込めば 君が逆さまに映る

硝子の中年はSHOCKを受けつつ枕を頭に見上げると、逆さま顔のりん坊が上から「早く起きろ~遊べ~」と言っている。