REPORT

書き物:いろいろ活動報告から雑感・妄想・昔話など。

2022-09-11-SUN

22:とき蕎麦

新しい朝が来た 希望の朝だ 喜びに胸を開け 大空仰げ。

少し涼しくなってきて、早起きりん坊も6時前くらいまでは寝かせてくれる今日この頃。
平日朝の家人は息子の弁当作りがあるので、朝散歩は自分の役目。以前は散歩と弁当作りを交互に行う試みをしてみたのだけど「あなたの料理は肉に火が通っているか心配」ということで、役割が固定した。

マンション玄関を出る。
りん坊のお気楽散歩の方向は三択。左の駅ルート、真ん中の川ルート、右の高架下ルートの三種類。最近の朝は、左に向かう駅ルートがお気に入り。なぜなら、駅に隣接する立ち食い蕎麦屋が好きだからだ。蕎麦好きとは粋な江戸っ子ワンコよ。

早朝から開店しているその店は、出勤前のお客さんもチラホラと入っている。そしてなぜか店外の足元にある換気扇口から、“めんつゆの香り”がギュンギュンに出ている。
わが町にはコーヒーショップがないのが残念ポイントのひとつ、と家人はよくこぼしているのだが、この蕎麦屋の手法はかのスターバックスと同じもの。出汁の効いたしょうゆ風味の香りを足元から立ち上らせて、往来を行く誘惑に弱いモノたちを引き寄せるのだ。

そしてそれに引っかかる一人がりん坊。
そのめんつゆの香りがたまらなく好きなようで、鼻先の換気扇口にちょっと近づいては離れ、離れては近づき、グルグル回り初めて、ついには首を上下に揺らして明らかに“蕎麦トランス状態”に陥る。終わる気配がなく、道行くヒトたちに変な目で見られ始めるので、少し引っ張ってその場を離れるのだけど、りん坊は少しフラフラしながら、鼻をフガフガと鳴らす。本当に使っているのはそば粉なのだろうか。非合法な白い粉など使っていないと良いのだけれど・・・。

今日も蕎麦を一発キメたりん坊は、そこから日替わりの徘徊をしながら公園に到着する。6時半。ご年配の皆さんを中心に男女がひろく集まっており、地面におかれたラジオからは音楽が聴こえる
♪この香る風に開けよ それ1、2、3。
ラジオ体操にいそしむ人々を「珍妙な動きをする人間どもよ」と、りん坊はトロンとした目でしばし見つめた後、その場を離れ帰途につく。

香る風 ― そういえばあの魅惑的な香る風・・・、二杯目の蕎麦を行くかどうか思案するりん坊。
今なんどきだい? ヘイ、七つくらいです。