REPORT
書き物:いろいろ活動報告から雑感・妄想・昔話など。
2022-03-01-TUE
09:ただいま、りん坊
欲と煩悩にまみれた人間は、いつだってヒトよりも愛されている状況を欲してしまう。
「誰がいちばんりん坊と心が通じているか?すなわち愛されているか?」 ・・・ あまり声高に議論をすると家庭内の関係がアレしてナンなのだが、我が家の隠れたアジェンダである。
高校生の息子。一回戦コールド負け。
ただでさえ接触時間が短いのに、在宅時間でもりん坊をぞんざいに扱うのだ。
遊んでほしいとき、逆にひとりでゆっくりしたいとき、毎度の対応がチグハグでりん坊を怒らせる。
これはモテないタイプだ。反省すべし。
いよいよ決勝戦。家人か自分か、宿命の対決。
美味しいご飯を用意してくれるのは、家人。「ささみ?カリカリ(ドライドッグフード)?それとも煮干し?」とりん坊に尋ねて、いつも正解を引き出す家人。抜群の信頼性とコミュニケーションで、この点では敵わない。
散歩が上手なのも、家人。りん坊が歩きたい道、止まって匂いをかぎたい場所を正確に見極め、そして拾い食いを避ける瞬時の判断。車のレースにおけるドライバーとナビゲーターのようなコンビネーション。
一緒に遊ぶのがうまいのも、家人。お気に入りのオモチャを使い分け、りん坊が快適に楽しく遊んでいる様は、ワンコの心を操る魔法使い。
んが、しかし!
外出からの帰宅時、家で待っていたりん坊からの熱烈な応対を受けるのは、自分なのだ。
特に日中から外に出て、帰りが夜10~11時くらいの場合が、一番の”炸裂”ケース。
玄関にカギを差し込んだあたりから「ワンワンワン!(もしかして!)」。
家に入ると「ワンワンワン!(遅かったね!おかえり!)」と猛ダッシュでやってくる。
そのまま大興奮でグルグルと回転すると、自分の顔をペロペロとなめて、そして手やら足やらを噛んでくる。始めは甘く、そしてすぐに本気でガブガブと。
「イタい・・・、でもいちばん噛まれることは、いちばん愛されている証拠--」。
勝利も敗北もないまま孤独なレースは続いていき、傷だらけの指先や腕をうっとりと眺めるのである。