REPORT

書き物:いろいろ活動報告から雑感・妄想・昔話など。

2023-07-25-TUE

#32 西北荘の沈まぬ太陽

人生で出会った「いい奴」ベスト3にはいるオトコ ― それが大学時代からの友人タネイケさんだ。
大学を卒業してもう30年は経とうとしており、社会人になってからは話をする機会はホントに数えるほどだけど、何年ぶりに出会っても、タネイケさんはタネイケさんのままだ。
彼は決して品行方正で清廉潔白の「いいヒト」というワケではない。むしろ「も~、しょうがねーなー」といった部分も多々ある男でもある。しかし、小澤調べの「いい奴」ベスト3の座を、もう30年くらいずっと連荘(レンチャン)している。

その人格ぶりは彼の表情に出ている。調子が良い時も悪い時も、彼がいつもにこやかに“ちょうどよく”微笑んでいるのは、きっと内に秘めた心の広さからくるもの。小さな石が飛び込み、水面に波紋が広がったところで、器のサイズからしたら誤差の範囲。タネイケさんの心は全く動じることはない。

タネイケや ピンフ振り込む 二時の音(芭蕉)

夜通しで麻雀をしていたその昔。深夜も極まり、壁時計が控えめに時を告げる午前二時あたり。
タネイケさんは、当たり牌とともに点棒を友人たちに差し出す。何があっても愚痴を言わず、自分の手役を恨めし気に見せることもなく、腐らず、穏やかに、そして少し眠そうに放銃する。
タネイケさんの心は全く動じないのだ。

普通どおりに暮らしていても、なぜかピンチに巻き込まれたり、火中の栗が回ってきたり、刀を樽に刺したら黒ヒゲがピョンっと飛び出したり、当たり牌をつかんだり ― まぁ長く生きていると、そんなことがたまにある。でもそんな時にこそ、そのヒトの品格や器の大きさが問われるのだ。
痛みや悲しみに不感症となったロボット的ではなく、被害者マウントポジションを取り出す悲劇の逆ギレ主人公的でもなく、打ちのめされて憐みを一身に浴びるでもなく・・・、そんなまわりを温かくする太陽のような人間(タネイケ)に私もなりたい。

《一緒にいても気を使わせないのに、みんなが一緒にいたがる》 ― それが、僕がタネイケさんとの付き合いから導いた「いい奴の条件」だ。いい奴に勝ち負けは関係ない。結局彼が一番輝いているのだ。
みんながタネイケさんに会いたがっている。我々は太陽の周りの惑星なのだ。