REPORT

書き物:いろいろ活動報告から雑感・妄想・昔話など。

2022-08-21-SUN

#16 ニンゲンオモチャバコ

先輩だけど後輩のワキさんは、出会ったときからずっと過剰なエネルギーが体中からあふれ出ていた。

大学2年生の春、所属していたイベントサークル新入生勧誘のザワザワ期に紛れて同じ大学の5年生(6年生だったか?)のワキさんは現れた。ワキさんは8年間通ったその大学も結局卒業せずに終わったと思うのだけど、既に当時からまわりを賑やかで華やかにするスター性とともに、人生を二周くらいした楽しくて怪しげな貫禄もあわせ持っていた。彼の持つ《カルチャー&アート》系への守備範囲の広さと、スルっとヒトの懐に入っていつの間にか誰とも仲良くなってしまう《人たらし感》 ― 遅れてやってきた後輩で先輩のその引き出しの多さに、すごくオトナを感じてまぶしく眺めたものだ。

社会人になってからも、その怒涛の活動量とベクトルの振り幅は、サスガのワキさんのまま。
さまざまな会社で新規事業に携わり、包丁も使えないのに料理店を開き、あちこちで文化的な街おこしをして、市議会選挙に出馬したり、ウーバーイーツの出前をやったり、子供たちと日本中を旅したり、と何だか“人生がおもちゃ箱”なのだ。いや、ワチャワチャと予想外のネタがあふれ出るそのサマは、“おもちゃ箱がひっくり返ったような人生”といったほうが良いかも!

SNSで垣間見ていたワキさんのバイタリティの秘密を探りたくて、少しだけ時間をもらって話をした。
「当時は名前がついていなかったけど、ボクはいわゆるADHDの多動症だったんスよねぇ~」と。シレっとワキさんは話したけど、ナルホド・・・とイマと繋がる合点がいった。
ボクらは陽気でパワフルなワキさんしか見ていなかったけど、ご本人にはさまざまな苦労もあったようだ。
でもだからこそ、ワキさんの言動の源には、子供や次の世代、生きづらさを抱えるようなヒトたちへのケアと、それを支えるべき地域や社会へのコミットがあるのだ。

おもちゃとは、創造性とサービス精神の塊。
そして何より自分が楽しみながら、それらを周りに差し出していく自作自演で自給自足のサンタクロース。きっとこれからもワキさんのあふれ出すトイ・ストーリーは続いていく。