38：歯磨き

ところ構わずひっくり返り「お腹をさすって～」と、道行くヒトにもおねだりするほど人懐っこいりん坊。
抜群の嗅覚でワンコ好きなヒトを見極めて、デレデレ～とすり寄っていき、体を撫でてもらうのだ。
アタマ、あご下、お腹に背中、手足の肉球 ― どこをさすっても、りん坊はウットリと気持ちよさそうに細目になって恍惚の表情。時には白目を剥いて絶頂睡眠状態にもなる。

んが、そんなりん坊にも、特別に苦手な部分がある。それは《歯》。
ワンコも歯肉炎などの歯周病があるようで、しっかり手入れが必要とのこと。そんなことを聞くたびに、こちらも良かれと思って歯磨きをしようとするのだけど、りん坊は猛烈に嫌がるのだ。
あごを優しくおさえて歯磨きをしようとすると、急に野生を取り戻したかのように「ゥゥウガーー！」と抗議をして、時には差し出したこちらの指をガブリとやってくる。ナルホド、犬歯ってそうやって使うのね。
“ツンデレ”を通り越したこの“ガブデレ”の豹変ぶりで、りん坊の歯ブラシ習慣はまったく根付かない。まったく歯が立たない。

たまに行くトリミングでも「りんちゃんは歯磨きがキライみたいですねぇ～」と言われることも多く、プロの腕をもってしても歯を磨くのは厄介なようだ。あぁ、アクビをした時に見える奥歯にこびりついた歯石がとても気になる。とても歯がゆい。

実際、我が家でもここまで何度か手を変え品を変えて、りん坊の歯磨きを試みてきた。
ワンコ用の歯磨きガムやら、指サック状の歯磨きやら、病院から渡された歯ブラシなどなど・・・。
家人と二人がかりで“押さえる係”と“噛まれる係”を交互に担当しながら、そのたびに挫折してきた。そのたびに歯ぎしりしてきた。

「（イヤがっている）りん坊が可哀そう・・・」
「これ以上押さえつけると、りん坊に嫌われそう・・・」
そんな理由でいつも中途半端に終わってきたのだ。
そこから逃げ出すことは 誰にでもできることさ　
あきらめという名の傘じゃ雨はしのげない　虫歯も避けられない

5月13日は『愛犬の日』だし、そして6月４日は『虫歯予防デー』！
英語でtooth and nail（歯と爪）と書くと“あらゆる手段を尽くして／必死に”という意味がある。
歯を食いしばって、歯を磨くのだ！