REPORT

書き物:いろいろ活動報告から雑感・妄想・昔話など。

2023-02-01-WED

31:話はそこまでだ!

人生も五十年を超えてくると、いろいろとマジメな話も増えてくる。そうそう毎日ふざけてはいられない。
子どもだって進路を考えるお年頃だし、歳を重ねる両親の健康も心配だし、家族以外の状況だってモロモロと複雑だ。そういう自分たちもこれからどうやって生きていくのか、などなど検討課題は山積みで、アチコチでいろいろな曲がり角を迎えているのだ。
ということで、能天気で出たとこ勝負の我が家でさえ、たまにはマジメな話をしなければいけない。

そんなとき、りん坊は気だるそうにやって来る。
トピックスによるのだけど、対話の深刻度が増し、時にそれぞれの主張をぶつけ合うようになってくると、スタスタとりん坊はやって来る。ピョンっとソファに飛び乗ると、両前足でこちらをドン!と押してくる。
「そのへんにしときや~」
まるでそう言っているかのように、話の腰を折ってくる。というか、話を正面から押し出そうとしてくる。

おそらく、りん坊はマジメな話のぶつかり合いが嫌いなのだ。
家庭内で議論が白熱してくるとすぐに割って入り、議事進行を妨害する。昔の総会屋か!?
でもその壁ドンならぬ胸ドンは、袋小路に入った話し合いを救うきっかけだったりする。

ちょっとした価値観のズレで平行線となる議論、途中から感情が先走ってしまっている説教などを当事者たちが自分で止めることは難しい。そんな時にりん坊はやって来る。トコトコトコ、ピョン、ドン!
違う 違う そうじゃ そうじゃない
それはまるで「コトバはもう少し生産的に使え」と教えているようでもある。

りん坊にド突かれたこちらは、少し我に返ったりして一息つくのだ。。
議会は休会し「じゃぁそろそろ風呂入る」とか「皿洗わなくちゃ」など三々五々に、少し冷静になって持ち場に帰るのだ。

「ヒトはコトバなんぞを覚えたから、モノゴトをややこしくする」 ― そんな風情で、議事を止めた総会屋ならぬ議長りん坊も満足げに布団に戻っていくのだ。
誹謗中傷やら不毛な議論に使われる人間語の習得より先に、ご飯のワン!と散歩のワン!の発音の差を聞き分ける力のほうが人生には重要だったりする。