26：犬はかすがい

朝晩２回、それぞれ約１時間の散歩･･･、ここ最近は睡眠時間を除く人生の10％以上をりん坊との散歩に捧げている。我ながらコリャすごい。
歩けども歩けども地図ができる気配はないものの、「50歳過ぎたら伊能忠敬になるゼ」と言っていたのは、あながち間違えていない。

そして、その散歩の半分くらいは家人とともにりん坊のお供をしている。
家人は「リード」担当。りん坊の心地よい散歩を実現する抜群の手綱さばき。危険な箇所の回避、友達犬とのじゃれ合いを良きところでコントロールするベテラン運転手だ。無事故無違反のゴールド免許のハンドル回しだ。
ちなみに、すれ違う友達犬の中にも飼い主ご夫婦同行体制が数組あるが、リードを持っている方がその家庭で主導権を持っているほうなのは明らかだ（キリッ！）

こちらは右手にペットボトルを持つ「その他」担当。
そばにいたいよ 君のために出来ることが 僕にあるかな？ ― ある！山ほどあるのだ。
おしっこへの水掛け、ウ○チのピックアップがメインの役割だが、冬は風よけにもなるし、夏の日差しが強ければ太陽とりん坊の間に滑り込み“ニンゲン日傘”にもなる。虫に弱い家人とりん坊のために、率先して蚊に刺される大切な役目もある。りん坊の歩きが遅いときは、家人の命をうけて前方にポジショニングして、珍妙な行動で関心を引き寄せペースアップを図る。このように、大女優には敏腕マネージャーに加えて、雑用を何でもこなす付き人が必要だ。りん坊も明らかに２名体制のほうがご機嫌でよく歩く。

そしてこの散歩の時間は、家人とのコミュニケーションの時間でもある。
天気の話、家族や友達、仕事の話、すれ違うワンコや野良ネコの話、もう一頭ワンコがきたらどうする？の話、最近読んだ本の話、これから見たい映画の話や、新ドラマのキャスティングの話、だいたいが他愛もない話だけど、りん坊がこの時間を作ってくれている。

「子はかすがい」の“かすがい”は、材木同士をつなげる『コの字型のクギ』のことだそうだ。
そう、ワンコの「コの字」は、かすがいのクギの形をしている。