REPORT

書き物:いろいろ活動報告から雑感・妄想・昔話など。

2021-11-01-MON

01:フラフラ散歩

家人が以前に飼っていたポメラニアンのチーは、毎日同じ散歩コースを歩いていたそうだ。
お決まりのコースを歩く安定性は、散歩に同行する人間にとっても安心感があるに違いない。
歩きだしてから帰宅までの時間、交通量の多い場所、遭遇する友達犬、拾い食いに気をつけるべき道、雨が降ってきた際に逃げ込む屋根下・・・、モロモロの計算が容易なのだ。

一方、我が家のスター、ポメチワの”りん”、通称”りん坊”は一筋縄ではいかない。
日替わりメニューとはこういうことか、というくらいに毎日の順路や行動が異なるのだ。朝晩それぞれ約1時間、興が乗ると1時間半にも渡って、気分のおもむくままに歩いていく。
道もバラバラなら、ペースもバラバラ。君に薔薇薔薇・・・という感じ。ひたすらトットコと歩く日もあれば、路傍の石のように固まる日もある。
その日のご機嫌次第では、鳩や猫にイチャモンをつけるように突っかかったり、出くわした気の合う友達犬とエンドレスなじゃれ合いレスリングを続けたり、「歩かないなら抱くよ」と手を伸ばすとガブっと噛んだり、毎日飽きさせないエンターテイナーぶりなのである。
たいがいは家人と二人で散歩のお供をするのだけれど、お付きの人間がどちらかひとりの場合、もう片方が「今日はどうだった?」と、どこをどんな感じで歩いたか様子をきくのがお決まりになっているくらいだ。


そんなりん坊のフラフラ散歩は対応が大変だけど、そのかわりに発見に満ちた毎日にもなる。
「へぇ、こんなところにこんな家が建ってたの知らなかった」とか、「久しぶりにこちらに来たら、だいぶ草花の様子が変わってきたね」など、小さな街の中での発見や、さまざまな角度で季節の変化を実感できるのだ。
たくさんの新しい世界に興味を持って自分で体験してみることーー、この点は多くの挑戦をテーマとする自分の生き方とも少し重なる気がして、勝手にりん坊との相性の良さを感じている。きっとりん坊も自分と一緒で何か新しいものや変化を無意識に求めて、反応してしまうのだろう。

りん坊と自分の共通点をことさらアピールするのは家人の前では慎んでいるものの、いずれにせよフラフラ人生の犬と戌年オジサンにリード紐をつけてうまくコントロールしている家人が一番偉い、という話。