REPORT
書き物:いろいろ活動報告から雑感・妄想・昔話など。
2022-02-11-FRI
08:エサ爺さん
自戒もこめてあえて強めに書き出すのだけど、一番始末に負えないのは”善意が迷惑になる”ケースだ。
善悪の区分やら判断もヒトそれぞれの感じ方なので、ホント難しいのだけど・・・。
エサ爺さん--その風貌は、個人的に尊敬する”現代の知の巨人”出口治明さん。
積み重ねた人生の年輪、そして知性と理性がその佇まいから滲み出ている。
年老いた白いトイプードルを連れてゆっくりと散歩するサマは、まさに賢者の思索の道中。
しかーし! しかし、だ。その賢者は勝手によそのワンコにエサを与えるのだ。
「はいコレ」
ワンコ同士の鼻クンクン外交時に、おもむろに正体不明の茶色いエサをこちらに手渡してくるのだ。
ワンコ大臣たちの会談中に、事務方がしゃしゃりでてはいけない。協議はそこでグチャグチャとなる。
手渡された4~5粒の茶色いエサは一旦自分のポケットに収めているけど、りん坊は、もう先方のトイプー大臣どころではなくなってくる。
「このおやつは繊維が多くて身体にいいんだよ」とエサ爺は言っているが、触れた感触は”キャラメル”。
もうカチカチでコチコチのキャラメルで、その強化プラスチック感には繊維的なスジの気配はない。
頂いたこの粒を全て食べさせて良いものか否か・・・、毎度苦悩するのは、エサ爺に会うのは平日朝の散歩時が多く、息子の弁当を作っている家人はそこにいないケースが多いから。
もしそこに『科捜研の女』こと家人がいたならば、うまくその場をやり過ごした後に、自宅で徹底的なブツの検証に入るはずだが、気の弱い自分は対応に苦慮してしまう。
先方のトイプーがキャラメルを美味しそうに食している中、「早くこちらにも!」ジャンピングアピールを繰り返すりん坊。
「身体に良いのに、なぜ与えない?それは愚かな判断なのではないかな?」と視線を投げてくる賢者。
結局、両者のプレッシャーに負けてカチコチキャラメル(仮称)をりん坊に与えてしまう自分。
クチャクチャとがっつく満足そうなりん坊。さらに満足そうなエサ爺。
ああ 全て与えて帰ろう ああ 何も持たずに帰ろう
帰宅後、家人に毎日の散歩の様子を報告するのは我が家の日課。下級役人は上司にホウレンソウ。
「今日もまたエサ爺に会っちゃったよ」
「また!?今度は遠くに見つけたら、道を変えたら?」
うーん、親切ってホントに難しい。。。