#30　ダブル・サンダル・ジェネローゾ

新卒ひとつめの会社で同期だったメンバーは本当に優秀な人間が多く、今もさまざまな方面で大活躍している。そのままコンサルタントとして大きな案件にたずさわっていたり、デジタルに特化した風変りな高校の先生になっていたり、志の高い政治家として頑張っていたり・・・。

以前こちらで紹介したシミズさんもそのひとりなのだけど、彼との繋がりもあって、この数年仲良くしてもらっているのがハシモトさん。このハシモトさんのキャリアもなかなかカッコイイ。

圧倒的なパフォーマンスで、同期の中では出世頭だったコンサル会社をヒョイっと辞めたハシモトさんが始めたのは、予想外の《魚屋さん》。振り幅の大きな人生にドラマを感じてしまう性分としては、その話を聞いた時に何だかすごくワクワクしたのを覚えている。
しかもハシモトさんが挑戦したのは普通の魚屋ではなく、日本中の漁師さんにネットワークを張って、お店や家庭に新鮮な魚を届ける仕組み作り。
ザ・漁師オブ漁師！それはまるで漁師を一本釣りする漁師といった感じかしらん？
そしてその魚介類を使った居酒屋を限定オープンしてみたりと、やってることがいちいちカッコイイのだ。

今では絶品イタリアンレストランのオーナーでありながら、コンサル業界を中心とした転職エージェントの会社も経営する多才ぶり。でも食材も人材も、真摯に向き合い、特徴を見極め、それぞれが輝く場所へ導くことが必要なのだろう。問われるのは、温かくも冷静な“目利きの力”なのだ。

ちなみに、飲食業と人材業の二足のワラジを象徴するように、いつも彼が履いているのは現代の草鞋こと“サンダル”。まるで少年がフラっと遊びに行くような風情で、季節を問わずどこにでもサンダルとTシャツ・短パンで現れるハシモトさん。キレキレのトップコンサルタントの頭脳はそのままに、全く飾らないその佇まいで、誰に対してもおおらかに気前よく接するその態度 ― イタリア語だと“Generoso”というらしい。