REPORT
書き物:いろいろ活動報告から雑感・妄想・昔話など。
2023-08-11-FRI
44:ウフフフおじさんと柴犬
ワンコと散歩する人間は2種類に分けられる。
なにかと犬を引っ張る人間と、ほとんど犬まかせの人間だ。
もちろんその間にグラデーションはあって、“程度問題”なのも確かなのだけど、《ウフフフおじさん》は犬を全く引っ張らない。
「ウフフフ」といつも温かく微笑むそのおじさんは、齢七十くらい。相棒はワンコの王道ともいえる飾らない感じの落ちついた柴犬。おじさんはいつも原色を取り入れたオシャレな恰好をしているのだけど、その佇まいは悟りを開いてもう数十年の高僧のソレ。道行く姿は辻説法の道中にも見える。
一方、我が家も気まぐれりん坊まかせの散歩には定評があり、拾い食い予防以外は1ミリもリードを引っ張ることはない。《犬は引っ張るものではない、犬に引っ張られるのだ》
そして、自由気ままに歩く犬は、自由気ままに止まる。安全を確信するお気に入りの場所ではず~っと止まっていたりする。
早朝5時だろうと夕方6時だろうと、ウフフフおじさん&柴犬チームに出くわす際は、お互いに本当によく止まっている。“散歩”ではなく、“散止(さんと)”という言葉を作りたいくらい。相手が遠方に止まっているのを確認してから、こちらも止まる、てなこともよくある光景だ。
路肩のアスファルトや段差に腰を掛け、伏せた柴犬を柔らかい目でみつめるおじさん。街のいたるところがワンコのベッドで、おじさんのベンチだ。
全身から優しいオーラが漂っている。
街中がやさしい気持ちで 今日の日をやさしい気持ちで ―。